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2017年度 廃棄物処理法 改正のポイント

2017年度 改正・施行になった廃棄物処理法のポイント解説

 表題に書きました 2017年度 廃棄物処理法の改正について、ブログという形で

抑えておきたい点について,数回に分けて書いていきたいと思います。

その前に、私がどのように産廃に関わってきたのかを今回は書きたいと思います。

 

 

 私は佐賀県唐津市にある、主に解体・土木・産廃収集運搬処分を行っている会社で

営業をやっておりました。担当は産廃に関する部署での営業になります。

現場に1日中いることもあれば、1日中事務所でデスクワークをすることもありますし、

営業ですので、当然1日中外回りもあります。

 

 営業と言いましても、実際は「何でも屋」といった感じです。当然、現場には作業員がいますし、

事務所には事務員がいて、専門的に業務をこなすわけです。ですので、営業は営業だけしていれば

いいだろうと思われがちですが、すべてにおいて精通していないと営業活動が出来ません。

 

 例えば産業廃棄物処分の見積を依頼された場合、現場へ行き、廃棄物のボリュームはどれ位なのか?

廃棄物をどういった方法で回収するのか?回収に関して必要な人・車・重機等はどうするのか?

最低でも上記の点を抑えていないと収集運搬費の見積金額が算出できません。

また、提出した見積でOKをいただけた場合は、契約に関する書類を作成する必要があります。

契約書類作成も営業で行いますし、回収時に発行するマニフェストの印字も行います。

廃棄物の処理フローを理解していないと、上記書類の作成が出来ませんので

産廃品目に対してのフローは当然に頭に入れておかなければいけません。

 

 この様に、廃棄物処分の見積をするだけでも様々な経験・知識等が必要になってきます。

他の産廃業者がどういった状況かはわかりませんが、私が所属していた会社の営業が

「何でも屋」だったから、逆に良かったのかな? と、今では思っています。

 

営業ですので、お客様(排出事業者)とは毎日接するわけですから、お客様(排出事業者)の立場、

視点で常に考えます。当然、収集運搬・処分を行っていますので、業者としての立場・視点も

理解しています。そして現在は、第三者としての立場・視点に立ってそれぞれの立場の方と

接しております。

 

 この様な経験と知識を活かし、様々な立場・視点から物事を判断する事が出来ます。

この経験を交えつつ、2017年度 廃棄物処理法の改正ポイントを書いていきたいと思います。

 

 

2018年10月03日

2017年度 廃棄物処理法改正ポイント① 産業廃棄物 電子マニフェストの義務化

電子マニフェスト運用の義務化


 2017年度 廃棄物処理法改正ポイントの①としまして、電子マニフェストの義務化について

抑えておきたいポイントを解説していきます。

 

 「前々年度に特別産業廃棄物(PCB廃棄物を除く)を年間50トン以上排出させた事業場がある事業者」に電子マニフェストでの運用が義務化されました。

この改正の施工日は2020年4月1日からとされています。これだけ読むと、ピンとこない方もいらっしゃるのではないかと思います。3点に分けてポイント事に解説したいと思います。

(産廃に関わるほとんどの方が、特別管理産業廃棄物を略して「特管」、電子マニフェストを略して「電マニ」と呼ばれます。)



 

それではまず最初に「前々年度に」とされている点の解説をします。

 これは改正の施工日が2020年4月1日からとされていますので、2020年の前々年にあたる

2018年度の年間排出量からとなります。2018年度に特別管理産業廃棄物を年間トータルで50トン以上排出した場合は、2020年度から電子マニフェストでの運用が義務付けられます。

 

 

 

次に「特別産業廃棄物(PCB廃棄物を除く)を年間50トン以上排出」について解説します。

 対象になるのは、特別管理産業廃棄物のみになります。年間に100t排出したとしても、内訳が産業廃棄物55t、特別管理産業廃棄物45tの場合は対象にあたりませんので電子マニフェストの運用は義務付けされません。

 PCB廃棄物も特別管理産業廃棄物ですが、PCB特別措置法によって定められていますので

この法改正の対象からは除かれています。

 この電子マニフェストの運用義務は特別管理産業廃棄物に対してのみですので、

通常の産業廃棄物は、年間50トン以上排出しても「紙マニフェスト」(略して紙マニ)での運用でも構いません。

 

 

最後に「事業場がある事業者」について解説します。

 年間排出量の対象となるのは、あくまで事業場に対してであり事業者全体にではありません。

例えば、株式会社□□□□という会社あり、〇〇〇工場が特管を年間30t排出しています。△△△工場が特管を年間45t排出していたとします。

この場合、事業場の〇〇〇工場と△△△工場のどちらの工場も特別管理産業廃棄物を年間50t以上排出していませんので、電マニ運用義務化の対象とはなりません。

 事業者全体としては50tを超えていますが、対象は「事業場」単位ですので電マニ運用義務の対象にはならないという事になります。

 

 

 以上、電子マニフェスト運用義務化に関するポイント解説でした。

電子マニフェスト運用に関しては、すでに導入されているところも多いと思いますが、

以前私が産廃の営業をしておりました担当エリア(唐津市・伊万里市・東松浦郡・西松浦郡等)に関しては、導入企業は全体の5%以下でした。

 先入観として、「複雑で面倒くさそう」みたいな所があり、産廃担当の方も導入を迷っているといった所ではないかと思います。マニフェスト管理という点では非常に楽になると思いますので、運用義務化の対象にならない場合も検討されてみては如何でしょうか。

 導入される場合は、イーリバースドットコムがおすすめです。https://www.e-reverse.com/

電マニと言いましても、発行の際に紙が必要だったりと完全にWEB上での運用ではありません。

その点マニフェスト発行の際の手間などを考えても、排出事業者・処分業者ともにスムーズな運用が

行えるというのが私の感想です。

 


次回は「グループ企業による特例」について解説したいと思います。

 

 

 

 

 

2018年10月09日

2017年度 廃棄物処理法改正ポイント② グループ企業に認められた産業廃棄物の特例

同一グループ企業に対して認められた産廃特例

 自社が出した廃棄物を、自ら運搬及び処分する場合は

排出事業者自身が行う処理に該当するため、産業廃棄物収集運搬業許可及び処理業許可を

取得する必要はありません。

同一グループ企業間の場合では別法人となるために、親会社が子会社の産業廃棄物を処分するためには

産業廃棄物処理業の許可が必要でした。

 2017年度の改正において、グループ間で処分を行いたい場合は

都道府県から認定を受ける事で、許可がなくとも処理を行えるようになりました。

その場合、グループ内で認定を受けていない子会社がある場合は、その子会社の産廃処分は

引き受けることが出来ません。

 

 

 

 

同一グループ企業と認定を受けるための要件

1.当該二以上の事業場のうち他の事業者の発行済株式の総数、出資口数の総数又は出資価格の総額を保有

2.下記の全ての条件を満たしている

①当該二以上の事業者のうち他の事業者の発行済株式、出資口数又は出資価格の総額の3分の2以上に相当する数又は出資を保有。
②その役員又は職員を当該二以上の事業者のうち他の事業者の業務を執行する役員として派遣していること。
③当該二以上の事業者のうち他の事業者はかつて同一の事業者であって、一体的に廃棄物の適正な処理を行っていたこと。

上記に記載した条件の1と2のうち、どちらかの条件にあてはまらないと認定は受けられません。

 

 1の条件に関しては、親会社が子会社に対して100%出資者という状態である事としています。

完全子会社であれば、認定できる数に制限はありません。

 

 2の条件としては、2-①の100%出資という完全な親子会社という関係までは求めませんが、

密接な関係でなければならいという事で、出資比率が66.6%以上である事。

2-②の親会社から子会社へ役員を派遣している事。

2-③の元々は同一企業だったものが分社化して別法人になった場合である事。

この①~③の条件を全べて満たしていれば2の条件をクリアしているという事になります。

親会社が100%出資した子会社でない場合は2の条件が必須となります。

 

 上記のように、認定要因としては資本関係が大きな制約となりますが

資本関係以外の要件として、法人や役員が欠格要件に該当しない事や、産業廃棄物処理を継続して行う為の経理的基礎を有する事などが制約として設けられています。

親会社が処理施設をもっている場合は、積極的にこの特例を活かしていくべきでしょう。

 

 以上が同一グループ企業に対する産業廃棄物処理の特例解説でした。

次回は、雑品スクラップに関する規制についての解説をしたいと思います。

 

 

 

2018年10月12日

2017年度 廃棄物処理法改正ポイント③ 雑品スクラップの保管規制

雑品スクラップとは?規制への流れ

 雑品スクラップへの規制が始まりました。雑品スクラップの取り扱いについては

グレーゾーンが多く、都合の良い法解釈での扱いが見受けられました。

雑品スクラップとは、「有害使用済機器」と法では定義されています。リサイクル可能な金属と

プラスチックなどの物が一体となっている物で家電・OA機器等がそれにあたります。

 

 この雑品スクラップは、スクラップ業者が買取れば価値があるもの「有価物」としての

扱いとなり廃棄物には当たらない為、廃棄物処理法では規制が出来ない状況でした。

スクラップ買取業者の中には保管状況が悪く、放置状態で野ざらしにされているような事もあり

重金属等の有害な物質が流れ出したり、出火して火事になる等の事案が発生しています。

私もこれまで産廃業者の営業として様々な現場を見てきましたが、きちんと保管されていると感じる

事の方が少なく、産廃ヤードがない状態で廃棄物と混ざったような状態で積み上げられている現場を

目にすることもありました。

こういった背景があり、規制への流れが出来て法改正での規制となりました。

 

 

雑品スクラップに対する規制対象・規制内容とは?

 規制の対象物としては家電リサイクル法及び、小型家電リサイクル法の対象となっている物です。

合計で32品目が対象となります。

対象者としては「雑品スクラップを保管または処分を業として行おうとする者」になります。

スクラップ業者等の「買い取ったから有価物」という言い逃れは通用しなくなったわけです。

 また、対象者には保管場所の事前届出と保管基準や処分基準に則った管理が義務付けられました。

保管場所の事前届出義務は、雑品スクラップの保管を行う事業場の敷地面積が

100平方メートル以上の場合となります。事業場全体の敷地面積が対象ですので、

保管場所の敷地面積と勘違いが無いように注意して下さい。

 

 

 これまでの廃棄物処理法はグレーゾーンが多々あり、それを逆手に取った都合の良い解釈で

悪用されるようなケースも見受けられました。そういった事案を無くすように法改正が行われて

健全化を図っていく努力がなされています。

今後も更に細かい規制がされていくと思います。

 

 以上、雑品スクラップの保管規制に関する解説でした。

 

 

2018年10月19日